2種類の過誤

[Tips] 理論的にやや難しい内容を含んでいるので、仮説検定に慣れてから取り組んでもよい。

確率変数 $X$ は正規分布 に従うとする。 母平均について、帰無仮説 $H_0: \mu = 0$, 対立仮説 $H_1: \mu \neq 0$ に基づく検定を考える。 棄却域を と定めるとき、次の問に答えよ。

[1] 第1種の誤りの確率を小数第4位まで求めよ。  

第1種の誤りとは「$H_0$ が正しいのに $H_0$ を棄却する誤り」である。 $H_0$ が正しいとき、確率変数 $X$ は に従う。 $H_0$ を棄却する確率は であるから、これを求めると  である。

[2] 本当の平均が であるとき、第2種の誤りの確率を小数第4位まで求めよ。

第2種の誤りとは「$H_0$ が正しくないのに $H_0$ を棄却しない誤り」である。 いま、真実は であるから、確率変数 $X$ は に従う。 $H_0$ を棄却しない確率は であるから、これを求めると  である。

[注意] 実際の仮説検定では、有意水準($=$ 第1種の誤りの確率)をあらかじめ決めたうえで、それに対応する棄却域を設定するのが一般的である。 また、母平均の真の値は通常分からないため、第2種の誤りの確率を正確に求めることは一般には困難である。