ド・モアブル-ラプラスの定理

以下の定理を ド・モアブル-ラプラスの定理 という。 授業で扱った定理 10.2 や教科書 p.113 の定理 8.10 をベルヌーイ型確率変数の列に対して適用したに過ぎない。

[定理] 確率変数 $S$ が二項分布 $B(n, p)$ に従うとする。 このとき、$n$ が十分大きいならば、$S$ は近似的に正規分布 $N(np, np(1-p))$ に従う。 すなわち、 \[ S \approx N(np, np(1-p)) \qquad (n \to \infty) \] である。
[証明] $X_1, \cdots, X_n$ を成功確率 $p$ のベルヌーイ型確率変数とすると、 \[ S = X_1 + \cdots + X_n \] とかける。各 $X_i$ について $E[X_i] = p$, $V[X_i] = p(1-p)$ であるから、 授業で扱った定理 10.2(または教科書の定理 8.10)より \[ S = X_1 + \cdots + X_n \approx N(np, np(1-p)) \qquad (n \to \infty) \] である。

【問題】
ある植物の発芽率は であるという。 この植物の種子を 個まいたとき、 個以上の種子が発芽する確率を、 ド・モアブル-ラプラスの定理を用いて小数第3位まで求めよ。 ただし、連続補正(教科書 p.116 参照)は用いなくてよい。  

【解答】
発芽した種子の個数を $X$ とすると、$X$ は二項分布 に従う。 種子の個数 は十分大きいとみなしてよく、 ド・モアブル-ラプラスの定理から $X$ は近似的に に従う。 よって、は近似的に標準正規分布に従い、 であるから、標準正規分布表より、求める確率は である(だいたい合っていればよい)。