母分散の区間推定

必要であれば一般電卓を使用してよい。
 
[ Tips ]
正規分布 $N(\mu, \sigma^2)$ から無作為標本 $X_1, \dots, X_n$ をとる。このとき
\[ \sum_{i=1}^n \left( \frac{X_i - \overline{X}}{\sigma} \right)^2 \] は自由度 $n-1$ のカイ2乗分布 $\chi^2_{n-1}$ に従う。 この式を変形すると \[ \frac{1}{\sigma^2}\sum_{i=1}^n (X_i - \overline{X})^2 = \frac{n}{\sigma^2} S^2 = \frac{n-1}{\sigma^2} U^2 \] となる。ただし、$S^2$ は標本分散、$U^2$ は不偏分散を表す。母分散の推定は \[ \frac{n}{\sigma^2} S^2 \sim \chi^2_{n-1} \text{ {\footnotesize もしくは} } \frac{n-1}{\sigma^2} U^2 \sim \chi^2_{n-1} \] のうち好きな方を用いて行う。

 
正規母集団からサイズ の標本を抽出して次のデータを得た。
  
母分散 $\sigma^2$ の 信頼区間を求めよ。
区間の両端の数値が割り切れない場合は小数第2位まで答えよ(小数第3位を四捨五入せよ)。  

[解答]
授業で導いたように、(母平均が未知の場合の)母分散 $\sigma^2$ に対する信頼係数 $1-\alpha$ の信頼区間は \[ \frac{nS^2}{\chi^2_{n-1}(\alpha / 2)} \leq \sigma^2 \leq \frac{nS^2}{\chi^2_{n-1}(1- \alpha / 2)} \] である。ここで、$\chi^2_{n-1}(\beta)$ は $\chi^2_{n-1}$ の上側 $\beta$ 点である。
標本サイズ や、 、 標本分散の実現値 を代入して母分散の信頼区間 を得る。
 
 
[補足]
母分散の信頼区間も導出できることが望ましい。次のように行う。
$\frac{n}{\sigma^2}S^2$ が 自由度 $n-1$ のカイ2乗分布 $\chi_{n-1}^2$ に従うので \[ P \left( \chi^2_{n-1}(1-\alpha / 2) \leq \frac{n}{\sigma^2}S^2 \leq \chi^2_{n-1}(\alpha / 2) \right) = 1 - \alpha \] である。上の式の意味がつかめなかったら $\alpha = 0.05$ のつもりで絵も書いてみよう。
左辺のカッコの中を $\sigma^2$ について解いた \[ \frac{nS^2}{\chi^2_{n-1}(\alpha / 2)} \leq \sigma^2 \leq \frac{nS^2}{\chi^2_{n-1}(1 - \alpha / 2)} \] が母分散 $\sigma^2$ に対する信頼係数 $1-\alpha$ の信頼区間である。